オタクのよろこび語録~ボキャ貧編~

2次元のアイドルを推すオタクが色々やってみる。メイクとファッションが好き。

刀剣乱舞の知識ほぼゼロのオタクが三百年の子守歌を観劇した感想と考察

 こんにちは、現在事情があって台湾に滞在しているユニコです。先日刀剣乱舞が大好きな台湾人の友人に誘われて「ミュージカル刀剣乱舞『三百年の子守歌』」の千秋楽をライブビューイングで観劇しました。刀剣乱舞が舞台やミュージカルにアニメなどと幅広く展開されている人気コンテンツだということは以前から知っていたのですが、そうであるがゆえに今からハマるには大変そう…となんとなく敬遠し続けていたジャンルの一つでした。筆者は数年前テニミュに熱中していたので2.5次元ミュージカルの経験はそれなりにあります。まあ物は試しということで観劇したところ「ヤバいもんを見ちまったぜ…。」と思わず震え上がってしまいました。三百年とかいて「みほとせ」と読むんだぜ?全く知りませんでした。今回は自分なりの感想を忘備録としてまとめておきたいと思います。

 

 

 

 

■今回のミュージカルのあらすじ


 いにしえの精神と技の結晶である刀剣から生まれた最強の付喪神「刀剣男士」の役目は歴史の流れを改変しようとする「時間遡行軍」を自らが時間をさかのぼることで阻止すること。舞台は徳川家康が誕生したばかりの1500年代半ば。当時はまだ松平家であった徳川に時間遡行軍が奇襲をかけ家臣、君主諸共息絶えてしまう。唯一生き残ったのはまだ幼い赤子…なんとそれが後の徳川家康であるという。徳川家康を史実通りの天下人に育て上げるために6人の刀剣男子は赤子の家臣として仕えることになる。

 

 私なりのあらすじなので理解が及んでいないところがあったらすみません(汗)。ただ何というか今回のストーリーは刀剣男子6人によるハートフル子育てストーリーなんですよ(爆)。タイトルの子守歌とはそういうわけです。次の段落からストーリーに沿って感想を書いていこうと思いますが、まずミュージカル刀剣乱舞のいい所と言ったら「ストーリーの構成がわかりやすい」ことです!正直言って観劇するまで刀剣乱舞の知識はおろか今回の登場人物もぼんやりとしか知らなかった…。(大倶利伽羅は友人の推しなので知っていましたが)それでも日本人なら一度は習ったであろう日本史の基本知識があればかなりわかります。今回の主な刀剣男子はこの6人です。私がミュージカルから得た印象でざっくり紹介するよ!

  • 石切丸:緑色の袴を着ていて今回の任務のリーダー。基本的に物静かで争いごとを好まない心優しい性格だが、時には本人の意思と反してリーダーとして冷酷な判断を下すことがある。怒ると怖い。
  • にっかり青江エッチなお兄さんその1。緑髪のポニーテールで物憂げな雰囲気の人物。どうやら色々と過去にあったみたいだけど今回はあまり深堀されていないので割愛。観察眼があり聡く落ち着いたタイプかと思いきや意外と戦では先陣を切るタイプ。
  • 物吉宗貞:オレンジの髪で一人だけ短い刀を使う。徳川家康の愛刀であり彼をよく知る人物であり、率先して子育てをする。常に笑顔を振りまき周りを鼓舞する。一言で言うなら「幸せを運ぶhappyオレンジ君」かな。(以下物吉)
  • 千子村正エッチなお兄さんその2。ピンクのロングヘアーにきわどい衣装でたぶん色物枠。個性が爆発している徳川に仇をなすと言われる妖刀。「脱ぎましょうか」が口癖ですぐに脱ぎたがる露出狂。新入りの刀剣男子で言動の派手さから誤解されやすいが本当は皆と打ち解けたい模様。(以下村正)
  • 倶利伽羅:褐色の肌をした青年。基本的には「他人と馴れ合うつもりはない」というのが彼のスタンス。戦を好み戦以外にはあまり興味がない。常に仏頂面で感情的なことを避ける傾向にあるが…。
  • 蜻蛉切:大柄で槍を用いて戦う肉体派。面倒見がよいが、堅物すぎるところが玉に瑕。正直ライビュ後のキャストコメントで「ステーキを食べたい」と語っていた印象が強すぎます(笑)。いい奴。

詳しくはYouTubeで公式サイトがアップしている「勝利の凱歌」というmvがあるのでぜひそれを見てほしい。ただ大倶利伽羅はキャストが変更になっているので悪しからず。

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■場面1:にっかり青江と大倶利伽羅の失踪


 時間遡行軍が徳川家(当時の松平家)を根絶やしにしようとするのを阻止するため、任務に出ていたのはにっかり青江と大倶利伽羅の2人でした。松平家の援護に入る二人ですが戦況は劣勢で徳川家康の父親と思われる人物から赤子を託されます。その子供こそ後の徳川家康です。赤子をかばいながらの戦いに苦戦を強いられどうにか二人は撤退します。ミュージカルが始まって間もなく殺陣のシーンに入ったのでいきなり刀剣乱舞の醍醐味に触れてしまった気がしてテンションが上がりましたね!特に、穏やかに微笑を浮かべるにっかり青江が「関係ない。」というセリフの後に回し蹴りをして敵を薙ぎ払うシーンの表情は戦を楽しんでいるような狂気が感じられて個人的に好きなシーンの一つです。
 一方で本丸では新たな刀が誕生しようとしていました。村正です。そこから彼の自己紹介がてらの歌唱シーンに入るのですがこれがまた刺激が強い!きわどい衣装に強烈すぎるキャラクター、ただでさえ目力が強いのに目を見開き極めて異質な存在感を放ち歌う彼。筆者的にはとても好きです(笑)。その後任務に出向いた二人からの連絡がないということで審神者の命を受け石切丸をリーダーとして村正、蜻蛉切、物吉の4人が援護体として過去に向かいます。

 

 

■場面2:幼い家康を天下人にすべく育て上げる刀剣男子


 残念ながら時間遡行軍により徳川家は壊滅的な状態になってしまいました。幼い家康を育てることのできる人は誰一人いません。しかし徳川家康が天下人にならなければ史実が変わってしまう、それを何としてでも防ぐため刀剣男子たちは徳川家の家臣の名を名乗り家康を立派な天下人に育てることを決意します。ハートフル子育てストーリーの始まりです。リーダーの石切丸は真っ先に服部半蔵を名乗りましたが、これが後から効力を発揮する伏線になるとは思いませんでした…。う、泣ける…。家康の教育係は家康の愛刀だった物吉が中心となって務めます。ほとんどのメンバーが協力的な姿勢を見せる中、大倶利伽羅は「馴れ合うつもりはない」との理由から周辺の警護に行ってしまいます。また村正も自身が徳川家に仇をなすと妖刀であることを主張し外へ出ていってしまいます。なんだかんだで6人の刀剣男子は家康を育て上げ、元服、さらには家康が子を授かるにまで至りました。
主な世話係の物吉は一見して頼りなさげに見える家康を「これでいい」と肯定し、常に「笑顔が大事」と言い励ましてきました。これも今思えばラストの伏線です。彼は戦において常に正しい判断をし、家康の幸運を運ぶ存在となります。

 

 

■「妖刀」村正の中に垣間見える葛藤と本音


 これは別口で語りたい!一番好きなシーン!!確かここら辺だったような気がするんだけど違ったらごめんなさい!家康を育てていくにあたって徳川家に仇をなす妖刀と言われる村正が葛藤を独白する独唱シーンがあります。彼は基本的には「脱ぎましょうか」といったセリフや真意の読めないような冗談などの派手な言動が目立つので周囲からは誤解されやすいタイプです。しかし本当の心は…。登場して以来常に飄々として眼を見開いた表情をし続けてきた彼がここで初めて迷いの表情を見せます。特に何も知らずに「この人いつも表情が一緒だな~」くらいにしか思っていなかったので急に崖から突き落とされた気分になりました。本人は自分が妖刀であることを普段は堂々と誇っているように見えますが心のどこかでは噂が膨らみ妖刀として畏れられることへの「諦観」があるのではないかと思ったとたん私は村正推しになっていました(ちょろいオタク)。ただここのシーンのおかげで村正という人物像に厚みが出て、ただのイロモノキャラという印象がガラッと変わったのでとても重要なシーンだと思います。実際彼は他のメンバーに遅れて家康の家臣になった後はかなり打ち解けているように見えました。ふざけているような態度で周りにけしかけますがそれも彼なりの愛情表現なのかと思うととてもかわいらしい存在に思うようになりました。

 

 

■場面3:百姓の五平と大倶利伽羅の出会い


 戦にしか興味のない大倶利伽羅は敵を一掃すると「こんなものか。」と吐き捨てますが、そこで怒りをあらわにしたのは意外にも穏やかに見えたリーダーの石切丸です。石切丸は本来は人々の病を治癒すべく生まれた刀であったため戦を好みません。そのため度重なる戦によって流れて血の量の多さに憂いていました。大倶利伽羅の命の重さを顧みない発言に静かに怒りを見せます。言葉で語るよりも、と大倶利伽羅と石切丸は互いに刀を抜き戦いをはじめます。戦いは途中で中断されますが石切丸は大倶利伽羅に対し「君の剣は軽いね」と言い捨てます。これは剣術に自信のある戦闘マニアとも言える大倶利伽羅にとっては屈辱ですよね。石切丸が怒りをあらわにしたこのシーン、見ていて普通にビビりました。えっ?どうしたの石切丸??こわい…。これまで目立った活躍のなかった石切丸がリーダーとしての威厳を見せるシーンの一つでもあります。だがそれだけじゃないんだ…。そうそう、先ほどリンクに張った「勝利への凱歌」の中で大倶利伽羅と石切丸が切り合いをするシーンがあって不思議に思っていたのですがこれはこのシーンのことかと思っているんですがどうなのかな?誰か刀剣乱舞のオタクがいたら優しく教えてくれると喜びます。
 

 さて、この時代で戦に行くのは武士の仕事、しかし百姓のなかで戦に出ることを志す一人の青年がいました。五平です。五平は農工具の鎌を持って無謀にも戦に出ようとし、危機に見舞われた所をたまたま居合わせた大倶利伽羅に救われ彼の強さを目の当たりにし、大倶利伽羅に剣術を教えてもらうようお願いします。五平は実は両親を戦で亡くし妹と二人で生きてきましたが、その妹まで困窮により食料を手に入れられず失ってしまいました。戦によって亡くした家族…。五平はそんな戦がなくなってほしいからこそ戦いを志しました。大倶利伽羅は馴れ合いは嫌いだと五平の頼みをつれなく断っていましたが、10歳前後になった家康の息子にダメ押しされ最終的には五平に剣術を教えることになりました。大倶利伽羅は基本的に群れることを好まない一匹狼ではありますが主君には忠実なところは盛大に推せるポイントだと思いました。家康に剣技を見初められ家臣になるよう頼まれた際も主君に跪き丁寧に了承していました。彼も基本的には悪いやつではないんです。不本意ながら初めた五平との稽古ではありますが、なんだかんだで大倶利伽羅は周りと打ち解けていきます。
 しかし、死はいつでも残酷に訪れるものです。戦の中で五平は死に絶えてしまいます。そしてそれを大倶利伽羅は目の当たりにしてしまいました。この時の大倶利伽羅は五平に対して背を向けますが、その表情は動揺や悲しみに満ちていました。牧島くんの演技あっぱれです!彼は言いました、「だから馴れ合いは嫌いだったのだ」と。切ない…。この時の五平の演技も光りまくりで涙を誘われるシーンではありました。ここで大倶利伽羅仏頂面で冷酷に見えるものの本当は仲間思いなのかと思いました。ただの刀剣だったときにはない「心」が刀剣男子には宿っています。心の扱いは難しく、にっかり青江が言っていたように扱い方を間違えれば壊れてしまうこともある。大倶利伽羅はそれを人一倍感じ取っていたからこそ彼の言葉でいう「馴れ合い」を本能的に避けているのかと…。それは言い過ぎかもしれないけれど彼はクールそうに見えて実は意外と激情家なんだと思います。


 その後先日の険悪な雰囲気になっていた石切丸と再び居合を行った際には彼は石切丸に「君の剣、重くなったね。」と言われていました。圧倒的な剣術を持つからこそ命の重みを知らなかった大倶利伽羅に五平との交流や死は皮肉にも彼にとって欠けていた大切なものを気づかせてくれたようです。ありがとう、五平…。2回目ですが、五平の役者さんの演技は最初から本当に素晴らしくてともすれば刀剣男子の演技を喰うかの様に感じました。五平は後に家臣にでもなるのかと思いましたが死んでしまうんですね。しかしこのエピソードによって倶利伽羅のキャラクター性に深みが生まれたと思います。村正の独白シーンの感想でも書きましたが、刀剣乱舞のミュージカルはキャラクターに深みを持たせるような上手い書き方をしていると率直に感じました。筆者はなんせキャラクターの知識がほとんどないにも関わらずここまでの情報量をうまく伝えてくれているのでこれから始めてみる方でもきっと楽しめるのだと思いました。

 

 

■石切丸が背負う残酷な使命


 家康だけでなくその息子の信康も立派に成長しホッと胸をなでおろす刀剣男子たちでしたが一つの懸念が浮かび上がってきました。史実では信康は実の父親である家康から切腹を言い渡されることになっていたのです。そしてそれを遂行するのは他でもなく服部半蔵として家康に仕える石切丸でした。今回の任務でリーダーを務める彼ですがあまりにも重く苦しい任務です。6人が家康の家臣として名乗りを上げる際に石切丸は先陣を切って服部半蔵を名乗っていたことを疑問に思っていましたが、彼はきっとこうなることを見越して最初から汚れ仕事を一人で背負うつもりだったのでしょう。そう考えると最初の場面での伏線があまりにも苦しすぎます…。それをなんとなく察していたにっかり青江は何度か石切丸に話を投げかけようとしますが石切丸はそれを避けてしまいます。辛すぎる現実を一人で背負っているんですよ石切丸は!本当は信康を手にかけるなどしたくない…。その思いは皆同じはず。石切丸はあえて感情を表に出さず冷酷に任務を遂行しようとしますが、そこで家康の愛刀であった物吉が「なぜ理由もないのに殺さなくてはいけないのか」と反対し対立します。しかしそのようなことをしたくないのは本当は石切丸だって同じです。しかし刀剣男子の使命は正しい歴史を守ることです。信康をこれ以上生かしておくわけにはいきません。刀剣男子たちは石切丸にだけ責任を負わせる気はなく、彼の後を追います。この時私の今回の推し、村正は「徳川に仇をなす妖刀が行かずにどうします?」(意訳)と飄々と石切丸の後を追うことにするんですよね。彼は決して直接的に優しいことは言わないのですが、これは彼なりに見せた優しさだと解釈したいです。話は少し違いますが筆者は時代劇が大好きでよくNHK大河ドラマなどを観ます。歴史もので個人的に気に入っているところは対立する者同士に絶対的な悪人サイドがあるわけでなくあくまで「異なる正義同士」の戦いであるところと、当たり前ですが必ず終わりが来てしまうことです。刀剣乱舞のストーリーはSF要素を含んだフィクションではありますが、れぞれが己の正義のために自分の命が散ろうとも戦う姿勢でいる点は私が大河ドラマを観て感じる一抹の寂しさに通じるものがあります。時代劇や日本史が好きな人にとっては響くものがあるのでは…。

 一方で五平の死は徳川家康の息子である信康にも影響を与えていました。幼少のころから剣術よりも植物や農業を好むような優しい性格の信康は、五平の死を境に自分には家康の跡を継ぐことはできないと親子の縁を切るように家康に懇願し彼を激昂させてしまいます。彼は自分の父親が平和のために戦に耐えていることを理解し尊敬すらしていました。そしてとうとう自分を斬るよう石切丸に懇願します。この時信康は幼い頃石切丸が歌ってくれていたという子守歌を不意に口ずさみます。この演出で完全にメンブレです(泣)。石切丸は信康に向かって剣を振りかざしますがやはり幼少の頃から見てきた信康を殺すことなどできません。そこで検非違使が現れます。刀剣乱舞における検非違使は日本史における検非違使とは勝手が異なるようで、どうやら時間の流れに発生するイレギュラー因子を排除する者を指すようです。つまりは時を越えて移動してきた刀剣男子たちはもちろん、史実を変えようとする時間遡行軍も処分の対象になるようです。難しいね。そこで石切丸以外の刀剣男子も集合し検非違使との戦いになります。検非違使は信康をも斬ろうとしますが石切丸はそれを阻止しようとします。信康は史実上死ななければなりませんが石切丸は彼を守ろうとするんです。検非違使はとても強く刀剣男子6人をもってしても手ごわい相手で石切丸は戦闘中に傷を負い身動きを取れなくなってしまいます。検非違使に石切丸が斬られる寸前、石切丸を庇ったのは他でもなく信康でした。結果的に刀剣男子が直接的に信康に手を下すことはなくなったとはいえ結局信康は検非違使に斬られてしまいました。それでもこれで史実通りとなったわけです。6人は検非違使を撃退し元の時代に帰っていたのでした。(たぶん)ここの演出曖昧でよく理解しきれなかったので誰か教えてください…。

 

 

■家康の晩年


 こうして一躍天下人として全国にその名を轟かせた家康も床の間で一生を終えようとしていました。刀剣男子たちが晩年の家康の枕元に立つと家康は「迎えに来てくれたのか」と嬉しそうにしました。年老いた家康の体を支えたのはもちろん、愛刀の物吉です。最後の力を振り絞って立ち上がった家康は自分が太平の世を築いたのだと大笑いしますが限界が来たようで起き上がれなくなってしまいます。家康に大切にしてもらった思い出のある物吉の目には涙が溢れます。それを見た家康は「笑え」と物吉に声をかけるのでした。笑顔でいることは家康が幼い頃から物吉自身が常に言い続けていたこと。それを反対に言われるという演出はもう泣く奴じゃん…。ビューイング会場でもすすり泣きの声が聞こえていました。ミュージカルで本当に泣く演技をするとは思わなかったので驚きましたが物吉を演じる横田君の演技は胸を締め付けられるものでした。そしてもう一人、笠を目深にかぶった汚らしい百姓が一人家康の元を訪れます。笠をとったその顔は、何と亡くなったはずの信康でした。信康はあの後自分が徳川家康の息子の信康であることを捨てて五平と名乗り百姓の身分として生きていたのです。それならば一応天下人の後継人としての「信康」という存在は死んだことになりますから史実とも相反することはないでしょう。そして五平も救われた感じがします。

 

 

■後日談


 実はこのミュージカルは石切丸が任務を記録した書を読み上げながら回想としてメインストーリーを送る形式なんです。そしてお茶目なことに石切丸はその記録書ににっかり青江と大倶利伽羅の似顔絵を描いていました。自分の似顔絵を見せられたにっかり青江はシュールな画風に思わず苦笑い。「これを大倶利伽羅君が見た時の顔が目に浮かぶよ」そう言い残して行ってしまいます。あとは村正と蜻蛉切の会話が好きだったんですけどニュアンスでしか思い出せないの悔しい…。「徳川家康なんて不幸の連続のような人生だったのにどうして幸運だったなんて言っていたのか」と疑問を口に出す村正に対して「物吉が幸福を運ぶことを信じていたためだろう」と返答していたような気がします。その後の「まあ私が妖刀と呼ばれるに至った所以もそのようなものですからね」という感じの言葉が印象的だったはずなのに全然覚えてない…。だけどこのシーン徳川家康のことはさっぱり理解できないと言っていた村正なりに少しは家康のことが分かったんじゃないかと思えるシーンだと思ったので好きでした。総じて村正が好きです!!!元気を取り戻し自分が今日の馬当番だったことを思い出した石切丸は記録書を置き去りにして駆けていきます。そしてみんながいなくなった後に一人登場したのが大倶利伽羅です。彼は石切丸の記録書を拾い上げ中に描かれている自身の似顔絵を発見してしまいますがその時の表情は…。笑顔でした。劇中唯一の破顔とまではいきませんが目を細める笑みです。言葉少なな彼なので何かを語るわけではありませんが彼の表情からは「やれやれ、これも悪くないな。」という声が聞こえてきそうな気がしました。一時は対立していた石切丸とも多少は分かり合えたということなんでしょうね。さて、にっかり青江が想像した大倶利伽羅の表情は果たしてどんなものだったんでしょうか…。こんなところで最後まで余韻を持たせてくれる作品って素敵だなと思いました。


 そして劇中や歌にも出てきた風車。あれは家康たちと育んだ絆の象徴と言えると思います。そう考えると「勝利の凱歌」のmvの最後で物吉がくるくると回る風車を手にもって眺めているシーンはとても切ないものに思えますね。

 

 

■怒涛の第2部


 大作を見終えて余韻に浸るのも束の間。刀剣乱舞のミュージカルはまだ終わりません。軍服のような洋装に身を包んだ刀剣男子たちがアイドルのごとく歌って踊るパフォーマンスをします。劇中とのテンションの差がありすぎて「私は今何を見せられている…?」と終始ぽかんとしてしまいましたがイケメンが舞う姿は最高でしたね。また、今回成人した家康と信康、五平の三人で和太鼓の演武をしていたところ、最高にテンション上がりました!五平が笑顔で登場してくれたおかげでなんとなくホッとしました。よかったよ、五平…。あとは感想をピックアップして挙げておきます。


蜻蛉切さんイケメン度の高まりがヤバい。控えめに行って結婚してほしい!!!
蜻蛉切さんと村正の歌はアイドルグループ内のセクシー担当って感じ。二人が並んだ   時の体格差になんか萌えてしまった。村正ファミリーいいね!
・青江さんのダンスが激しいのは劇中のキャラクター像を考えると納得いくような気がした。
・最初の曲で石切丸にカメラが回ってきたときバン!ってやってたような気がする。少なくとも私はそれに殺された。
・村正のソロ曲はいきなりストリップショーが始まったのかと思ってドキドキしてしまった…。村正の衣装は肩の骨の動きがよく見えるのがいいよね!
・石切丸は和装の時はゆったりした衣装を着ていたから洋装のタイトな感じがかわいい。
・物吉君さりげなくバレッタをしててかわいかったけど靴下の丈が微妙すぎた(爆)。せめてソックスガーターしたらそれなりに見えた気がする。いやなんの話?
・大倶利伽羅のコメントで腕の紋章を見せて「くれてやる」的なこと言ってたの死んだ。
・大倶利伽羅がエッチなお兄さんズ(村正とにっかり青江)に挟まれて腕を組まれて両手に花状態の時、両サイドノリノリなのに大倶利伽羅が露骨に嫌な顔をしてたの愛おしいやん。

 激しい殺陣の多いミュージカルというだけでもすごいのに第2部の内容も盛りだくさんでした。正直第2部だけでも十分ショーとして成り立つような気がするくらいなので刀剣乱舞ってすごいなと思いました。

 

 

■最後に~私が感じた刀剣乱舞の魅力~


 刀剣乱舞のファンの方には失礼ながら、正直本当に軽い気持ちに見に行ったんです。ですが初心者でも十分楽しめて感動できるミュージカルというよりも総合エンターテイメントショーだというのが率直な感想です。刀剣乱舞のミュージカルの素晴らしさは
①わかりやすいストーリー構成
②きれいな衣装やメイク
③個々のキャラクターが多方面から描写されていて立体感のある人物像を見られること
④カッコイイ殺陣のシーン
⑤歴史もの特有の寂寥感
頑張って3つにまとめようとしたのに気づいたら5つも書いていました。兎に角いえるのはこれはオタクじゃなくても十分楽しめる見ごたえのある作品だということです。
 

 気が付いたら1万字近くも書いていましたこわ…。正直これを読んでくださる方がいるのか不明ですが自分の想いを語りたい気持ちが高じてここまで来てしまいました。読んでくれた方、長々とお付き合いありがとうございました。いいねやコメントを頂けると励みになりますのでよかったらぜひよろしくお願いいたします。それではまた!