オタクのよろこび語録~ボキャ貧編~

2次元のアイドルを推すオタクが色々やってみる。メイクとファッションが好き。

ヒプノシスマイクに疲れてしまったオタクの話

 今年最も勢いのあるコンテンツの一つ、ヒプノシスマイク。昨年10月から始まった声優×ラップの異例の試みは多くのファンの心をつかみ今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気コンテンツとなった。コンテンツ開始1年ちょっととしては異例の3回のライブイベントやコラボカフェなど目まぐるしい展開が繰り広げられ、12月からは3誌でのコミカライズも決定している。私自身もヒプノシスマイクの虜になった一人のオタクであるが、先日のファイナルバトルの投票期間が終了して漠然と思ったことがある。ヒプノシスマイクを推すことに疲れた。いわゆる「推し疲れ」である。(そんな言葉が本当にあるのかどうかは知らない)今まで2.5次元ミュージカルや乙女ゲーム、少年漫画など様々なコンテンツを追いかけてきたオタクであり、それらのコンテンツを「推す」ことが何よりも生きがいであり、それはヒプノシスマイクも例外ではないにも関わらずこのような感情を抱くに至ったことに私自身戸惑いを感じている。事の発端として投票終了が迫った12月3日に公式ツイッターから中間発表があり、麻天狼が379票差で負けているとわかった時、シンジュクの女である私はシンジュクが負けてしまうという焦燥に駆られて何も考えられずにとりあえず次の日にCDを買うことを決意したのだが、それと同時にヒプノシスマイクのグッズとCDでいっぱいになった部屋の中で漠然と冷静な気持ちになって「あれ?私は何のためにCDを買っているんだろう。」と思ってしまったという経緯がある。もちろんヒプノシスマイクは大好きなコンテンツであることを前提として、なぜ自分が「推し疲れ」を感じてしまったのかをこれからの自分がコンテンツを楽しむために考えてみたいと思う。これまでヒプマイブームの渦中にいた私が一歩引いた冷静な気持ちになって素直に思っていることを書いていくので一部に批判的かと思われてしまうような表現も出てくるかもしれない。だからヒプノシスマイクを大好きで何も疑問はないし、そういったものは見たくないという人は見ないことを推奨する。もしかしたら私と同じような感情を抱いている方もいるかもしれないし、「何言ってんだこいつ?」と思われる方もいるだろうがあくまで個人の感想であるということを念頭において気楽に読んでほしい。

●キャラ同士の対立からファン同士の対立へ


 現在Battle SeasonにあるヒプノシスマイクはCDの販売形式としてCDに付属する投票券での各ディビジョンへの投票を通じてラップバトルの勝敗を決定するという形をとっている。これまで発売された「Buster Bros. vs. Mad trigger crew」と「Fling Posse vs. 麻天狼」はSecondライブの先行抽選券が付いたこともあり、投票数は膨大なものとなり混戦を極めた。また今回投票対象だったファイナルバトル「Mad trigger crew vs. 麻天狼」は、前回の対戦から勝ち上がったディビジョン同士が鎬を削り優勝チームが決定するもので両ディビジョンとも一切の油断も許されない白熱した戦いとなった。公式ツイッターも2度にわたる中間発表でファンを煽ったことでヒプノシスマイクのオタクはさらなる追い込みのためにCDショップに足を運んだ。TwitterなどのSNS上でのオタクによる投票を鼓舞するような呼びかけには多くのいいねが付き拡散された。その中で私がうんざりしていたのはキャラクター同士のバトルがオタク内にも拡張されている節があることである。発端はシブヤvs.シンジュクでシンジュクが勝利した時にシンジュクのオタクにヘイトを抱いたシブヤのオタクが、最終決戦ではシンジュクに勝って欲しくないからヨコハマに投票しようという内容ツイートをしたことような気がする。まず大前提としてそのような言動をしたのはほんの一部の過激派であるかもしれないし、真実は誰にも確かめようがないのだということがあるが、そのうえで書かせてもらうとしてやはり一定数はそのような言動をしてしまうオタクがいるというのもまた事実なのだ。しかし、自分の「嫌い」のためにお金を使ってしまうというのは悲しいことだと思うし、それならもっと自分の「好き」に惜しみなくお金を使えばいいと私は思うのだ。またそういう子供の考えはスルーすればいいもののそれを大きく取り上げて反応するオタクもいる。大半は分別がついて自分の推しの対戦相手やそのオタクを悪く言ったりしないのだが、一部で見られるそういった流れはヒプノシスマイクの治安を悪化させているように感じてきたし、コンテンツが好きだという思いから目をつぶってきた。私は普段ファンとコンテンツを引き離して考えるタイプだが、それでもそういったオタク同士の抗争がヒプノシスマイクの居心地を悪くしているように思う。よくオタクが言っているヒプノシスマイクを聴くと自分が強くなったように感じる」というのはある意味毒にも薬にもなる劇薬で、一歩間違えると危険な傾向だと思う。コンテンツとファンはイコールで繋ぐことができない。キャラクターはヒプノシスマイクで正々堂々バトルするが、一方で現実世界でも「言葉は刃」であることを忘れてはいけない。本当に楽しくなくなってしまう。

ヒプノシスマイクのコラボ展開、雑じゃない?


 ヒプノシスマイクのコラボ展開は怒涛の勢いでタニタ歩数計やサンリオ、ファミマ、ヴィレッジヴァンガードタワレコと数えだしたらキリがない。一オタクの意見としてヒプノシスマイクのには目先のことにとらわれず、ヒプマイというブランドやコンテンツ自体を大切にしてコラボ展開を慎重に進めていってほしいという思いを持っていたのだが、最近のコラボ展開の勢いからはとにかく利益の出せるうちに搾り取れるだけファンから搾り取っておこうといったような運営側の下心のようなものを感じるというのが本音だ。ただこれはヒプノシスマイクに関わっているスタッフやキャストを批判しているわけではないのでそこはわかって欲しい。ZIPでの2019年ヒット予測ランキングにも5位で入っていたヒプノシスマイクだがヒプノシスマイクを作っている側がヒプノシスマイクを消費して擦り減らしている段階にあるのが今ではないかと、それが少し悲しくて違和感があるというのが率直な気持ちだ。ただ今が人気の絶頂期で収益の観点から売り上げをストイックに追い求めるタイミングが今であるというのは私自身も理解できる。ヒプノシスマイクは現在「花形」の段階にあるからだ。しかしながら、コンテンツの安売りはそのものの質を落とすことに繋がりかねない。今はなんだか陽気に手を振っている人形のメッキが剥げて中にある無機質な装置が見えかかっているという状態にあると感じる。正直に言うと、長く続いていくコンテンツになるかいわゆる「バズり」で終わってしまうかはここが分かれ目だと思う。そしてもっと言うと素人ながらこのままでは私のように疲れたオタクの心が離れてしまう予感がしている。

ヒプノシスマイクを応援することは常に戦うコトなのか?


 ヒプノシスマイクはラップバトルを通じたテリトリーバトルなのでそもそものコンセプトとして勝敗が付き物なのは仕方がないこと。しかしヒプノシスマイク自体を楽しむことに関しては本当に人それぞれでいい、「楽しみ方は人それぞれです、文句を言うのは3流です。」ってね。そう思うのとは裏腹に自分よりもはるか多くのCDを積んでいる人やグッズの量で愛を示している人を見て自己嫌悪に陥ってしまった自分がいた。自分はファンでいる資格がないのではないかという思いを抱えていた。そもそも私はグッズ量=愛だと思っているわけではないのだが、ただできることなら多くのお金と時間をヒプノシスマイクに落としてあげたいという気持ちがあった。そうするとやはりどれだけ推しのディビジョンのためにお金や時間をかけることができるかが一種のバロメーターのようにならざるを得なかった。だから最善を尽くして自分の中でできるだけお金や時間をかけても上には上がいるわけで。そう思ったら好きでヒプノシスマイクを追いかけてきたはずなのにいつの間にか持久走をしている気分に変わっていて、駆け抜けている間はもちろん楽しい瞬間もあった一方で苦しくて苦しくて仕方がなかった。別に他人と私が勝負しているわけでもないし、たとえ誰かが勝負を仕掛けてきたとして同じ土俵に乗る必要はない。こういうときは勝つことが正しいのではなく、土俵に乗らないという選択をするのが賢いやり方だ。それは私自身がよくわかっている。しかしヒプノシスマイクを応援している限りそれは私にとって見えない何かとの戦いを強いてきた。こんなのおかしいし幼稚な考えだと思うが、この考え方から脱却するにはヒプノシスマイクから距離を置くしかないとの結論に至ったのだ。

●いくらお金と時間があっても足りないことへのフラストレーション


 そもそも最近の女性向けジャンルはファンの年齢層が高くなっていて、コンテンツを真面目に推そうと思ったらある程度の財力を必要とする傾向があるように感じる。ヒプノシスマイクに関してもそれは顕著でハマっている人ならわかると思う。毎月のようにアニメ雑誌で特集は組まれるしグッズだって新しい商品が常に出る。ベースはCD媒体だから自分の推しディビジョンを勝たせるためにいっぱい買わなくてはならない。正直、Battle Seasonが終わったらCDを積むことでの投票形式は終わりにしてほしいと心から思う。まだ未公開情報の多いヒプノシスマイクに関する新しい情報を得るために私自身、買えるものは何でも買ってきたし限定グッズを手に入れるために遠征を繰り返してきた。それでも自分が手を伸ばしきれないものはまだまだあり、そのために逃してしまった新情報やグッズがあることから悔しさを感じざるを得なかった。どのコンテンツに関してもすべてのグッズを手に入れてすべてのイベントに参加することはほぼ不可能に近く、ある程度割り切る必要があることは容易に理解できるがヒプノシスマイクはその中でも供給が多すぎて追いかけること自体に労力がいるし、まだ比較的新しいコンテンツだということもあってそれができなかった分フラストレーションもたまる。来年はヒプノシスマイクから音ゲーが出ることが知らされているが、スマホゲームは課金ユーザーから利益を得るというシステム上ゲームへの課金は免れないだろうし、さらなる情報格差が生まれてしまうことは確実だろう。課金をしたのに自分の推しが出なかったときの虚しさと言ったら計り知れないし、新情報を手に入れることができなかったときにどんな気持ちになってしまうのかなどは恐ろしくて想像もしたくない。え、そもそもヒプノシスマイクってソシャゲ沼に疲れたオタクのオアシスじゃなかったの?ヒプノシスマイク沼で泳いでいたらいつのまにか河口までたどり着いてもといたソシャゲの海に戻ってきたとかやはりオタクは鮭なのだろうか?今でさえ追いかけるのが難しいのにこれからはもっと難しくなるだろう。私のように他のコンテンツも同時に推しているオタクならなおさらのことだ。

●結論:ヒプノシスマイクと距離を置いてみようと思う


 ここ数日間、ヒプノシスマイクと私の関係に違和感を覚えてから悩みに悩みぬいてきた。その結果としてヒプノシスマイクとしばらく距離を保って生活してみることにしたというのが今のところの結論だ。しかしまだアップしていないヒプノシスマイクに関する記事がいくつかあるので舌の根も乾かぬうちにまたヒプノシスマイクの話をしだすのでそこは生温い目で見守ってほしい。私を含めてヒプマイのオタクのコンテンツへののめり方ははっきりいって異常だと思うが、渦中にいる時には自分たちではそれはわからない。ここだけの話、母にヒプノシスマイクと距離を置く旨を話した時の反応が「やっと我に返って足を洗う気になったのね…。」のような雰囲気が滲み出ていたので相当私が狂った様子でヒプノシスマイクに熱中していたのだろう、そんな私を笑ってほしい。しかしグッズまみれの部屋でふと一人になって考えたとき、自分は何のためにコンテンツを応援しているのかという疑問が降ってきた。そしていつの間にかコンテンツのために自分を犠牲にし、コンテンツを応援している自分がいることに気が付いた。しかしヒプノシスマイクにしろ何にしろ熱中することは悪いことではない。ヒプノシスマイクの斬新な展開はワクワクするし曲も素晴らしく楽しいことも多い。ただ、私のように追いかけるのが疲れてしまったオタクがいるのなら自分とコンテンツの関係を考え直すいい機会なのではないかと思う。

●最後に


 こんなことを書きつつこの記事を執筆している時にはヒプノシスマイクの曲をいつも流している自分がいて、完全にヒプノシスマイクに区切りをつけることはできないので本当にめんどくさいオタクは困るよ…。しかしこういう魅力的なコンテンツは確実にわたしの生きる気力になってきたわけで、これからもそれは変わらないと思う。だからこそこれからは自分が苦しくならない程度に、楽しめる程度にヒプノシスマイクをマイペースに応援していこうという姿勢でいたい。だってキャストがCDの宣伝と同時に「(お財布的に)無理のない程度で応援してくれると嬉しいです。」なんて言葉をかけてくれるコンテンツはなかなかない。もしかしたらキャストの中には今のファンがヒプノシスマイクに盲目になっているのを心配してくれてる方もいるのかもしれない、というのは行き過ぎた邪推だが。とりあえずこれからは自分が穏やかな気持ちでヒプノシスマイクを好きでいられたらと思う。ただのめんどくさいオタクのひとり言をここまで読んでくれた方ありがとうございました。

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